8月のスウェーデン。テーブルには真っ赤なザリガニとディル、パンやチーズが並び、紙の帽子をかぶった人までいます。食事の途中で誰かが曲名を告げると、みんなが手元の歌詞カードを見て、30秒ほど一緒に歌う。歌が終わるとグラスが上がり、「skål!」の声。それから何事もなかったように食事と会話が続きます。
この短い歌が、スウェーデン語でsnapsvisa(スナップスヴィーサ)。複数形はsnapsvisorです。
日本語なら「スウェーデンの乾杯の歌」と説明するのがいちばん分かりやすいでしょう。日本の宴会にも「乾杯の音頭」がありますが、snapsvisaは挨拶ではなく歌です。しかも宴会の最初に一度だけではなく、食事の途中で何度か登場することがあります。
日本国内のスウェーデン関連イベントでも、Helan gårを「乾杯ソング」としてみんなで歌う形はすでに紹介されています。ただし日本語の説明には「全部飲み干す歌」「酔っ払いの歌」「必ず一気に飲む」といった単純化も少なくありません。実際の伝統は、もう少し奥行きがあります。
日本語で読むスウェーデン文化ガイド。スウェーデンの無形文化遺産目録(Levande kulturarv)、ストックホルムのSpritmuseumの資料、日本語の資料など、出典はページ下部にまとめています。Snapsvisor.euのほかのページと歌のコレクションはスウェーデン語です。
食卓、一杯、メロディー、定番曲、ゲスト向けの作法、自分で書く方法。知りたい項目を選ぶと、その章に移動します。
宴会では、まず誰かが短い挨拶をして、最後に「乾杯!」と全員が声をそろえる形がよく見られます。民俗学者の神崎宣武は、少し形式ばった酒席では上座の誰かが挨拶をして「乾杯!」を発声し、くだけた席では互いにグラスを合わせて声をそろえる、と書いています。乾杯は会の始まりを区切る合図でもあります。
スウェーデンのsnapsvisaも、全員のタイミングをそろえるという意味では少し似ています。日本の宴会でみんなが声をそろえる「唱和」を歌の形にしたもの、と考えると近いでしょう。ただし、こちらはスピーチではなく短い歌で、食事の途中に何度か登場します。
基本の流れは簡単です。必ずしも上座の人が音頭を取るわけではありません。家族や友人の集まりでは誰かが自然に始めることもありますし、学生の晩餐会や大きな会では歌の進行役がいることもあります。替え歌なら、先に元のメロディーを告げることもあります。大きな夕食会ではsånghäfteと呼ばれる小さな歌集や歌詞カードが配られます。全員で歌い、歌い終わったらグラスを上げてskål。そしてまた食事へ戻ります。
毎回まったく同じ作法というわけではありません。家族の食卓、友人同士の集まり、大学の晩餐会では歌う回数も雰囲気も違います。それでも共通しているのは、誰か一人が披露する歌ではなく、その場にいる人が一緒に歌う歌だということです。
スウェーデンの乾杯では、相手と目を合わせる習慣があります。国営の酒類販売会社Systembolagetが紹介する乾杯の作法では、飲む前に相手の目を見て、飲んだ後にももう一度目を合わせてからグラスを置きます。これはsnapsvisaの定義そのものではありませんが、歌の後に周囲の人が急に目を合わせる理由を知っておくと、初参加でも戸惑いません。
出典:神崎宣武「乾杯の文化史」、Levande kulturarv(snapsvisor)、Spritmuseum(乾杯の歌)、Systembolaget(乾杯の作法)
小さなグラスの強いお酒を見ると、まず「ショット」を思い浮かべるかもしれません。ですが、スウェーデン語のsnapsは、特定の銘柄やお酒の種類だけを指す言葉ではありません。国内の記事では「スナップス」のほか、ドイツ語風に「シュナップス」と書かれることもありますが、このページではスウェーデン語のsnapsをそのまま使います。
Systembolagetによれば、snapsは「何を飲むか」よりも「どう飲むか」を表す言葉です。グラスに入るのはbrännvinであることが多く、その代表的な種類の一つがakvavit(アクアビット)です。
brännvinは、穀物やジャガイモを原料とすることが多い蒸留酒の広い呼び名で、香りを付けたものも、付けないものもあります。akvavitはその中でも、キャラウェイやディルを中心に香り付けした種類です。EUの定義ではアルコール度数37.5%以上で、キャラウェイまたはディル、あるいはその両方を主な香味とします。
日本語ではアクアビットという名前のほうがなじみがあるかもしれません。デジタル大辞泉などの国語辞典にもスカンジナビア産の蒸留酒として載っていて、近年は「アクアヴィット」の表記も見かけます。国内の紹介記事には「アクアビットはスウェーデンではスナップスと呼ばれる」といった説明もありますが、正確には同じ言葉ではありません。アクアビットはsnapsとして飲まれることが多い一方、snapsという言葉そのものは、小さな一杯を食事や乾杯とともに飲む、その飲み方を指しています。
そうした記事ではよく「一気に飲み干す」と書かれています。ただ、Systembolagetは、食事と合わせる場合はむしろ少量ずつ飲むことを勧めています。席によって習慣は違いますが、歌ったからといって、グラスを空けなければならないわけではありません。
出典:Systembolaget(snapsとアクアビット)、EU規則2019/787(アクアビットの定義)、コトバンク(アクアビット)、Systembolaget(食事と合わせるsnaps)
snapsvisaの面白さは、歌詞だけでなく作り方にもあります。多くの歌は、みんながすでに知っているメロディーに、新しい歌詞をつけて作られます。そのため、誕生日や結婚式、その日の夕食のために書いた歌でも、曲名さえ分かればその場で全員が歌えます。練習はほとんどいりません。
替え歌という仕組み自体は、日本でもおなじみです。たとえばスウェーデンのBlinka lilla stjärnaは、日本の「きらきら星」と同じメロディーです。Snapsvisor.euには、このメロディーで歌うsnapsvisorが複数あります。
もう一つ分かりやすいのがBroder Jakob。元はFrère Jacquesとして知られるメロディーで、日本では手遊び歌「グーチョキパーでなにつくろう」に使われています。Snapsvisor.euにもBroder Jakobのメロディーで歌うsnapsvisaがあります。ほかにもYellow SubmarineやLili Marleenのような国際的なメロディーも使われています。
ただ、多くはスウェーデンの童謡や民謡、クリスマスの歌なので、聞き覚えのないものも多いはずです。歌う前にメロディーを告げる習慣は、そんなときの助けになります。
歌詞の題材は自由です。ニシン、ザリガニ、天気、主催者、その日の失敗、空になったグラス。短く、リズムに乗りやすく、最後に少し笑える歌ほど、長く食卓に残ります。何十年も歌集から歌集へ受け継がれる歌もあれば、一晩だけの歌もあります。
出典:Levande kulturarv(snapsvisor)、Spritmuseum(乾杯の歌)、世界の民謡・童謡(きらきら星)、下志津病院(グーチョキパーの歌)
一曲だけ覚えるなら、まずHelan gårです。スウェーデンで最もよく知られたsnapsvisaで、祝宴でsnapsが出るとき最初に歌われることがよくあります。
カタカナ表記は一定していません。国内のイベントや記事では「ヘーランゴー」「ヘランゴー」「ヘーランゴール」などが使われています。このページでは原題のHelan gårで通し、音の目安としては「ヘーラン・ゴール」が近い、とだけ添えておきます。
日本語のウェブでは、曲名を「全部飲み干せ!」と説明する例がほとんどです。しかし、言葉の歴史的な背景を知ると、それだけでは少し足りません。
昔のスウェーデンでは、食事中に続けて出されるsnapsに順番ごとの名前がありました。一杯目がhelan、二杯目がhalvan、三杯目がtersenです。一杯目はグラスをいっぱいに、二杯目は半分まで注いだことから、helan(全部)とhalvan(半分)という名前がついたとされています。曲名のhelanは、ここでは「一杯目」の名前です。そのため、単に「全部飲み干せ」と訳すと、この順番の意味が抜け落ちてしまいます。gårは「行く」に近い語なので、全体としては「さあ、一杯目がいく」という感覚、宴会で「それでは、いきます!」と言うのに近いでしょう。歌の研究者クリスティーナ・マットソン(Christina Mattsson)によれば、helanとhalvanという名称は18世紀にさかのぼり、その後の名前は19世紀の学生文化の中で増えていきました。すべての名前と由来はスウェーデン語のガイドSnapsarnas ordningにまとめてあります。
ですからHelan gårは、単純に「全部飲み干せ」というより、「さあ最初の一杯だ」という意味で理解したほうが、歌の仕組みがよく分かります。
Snapsvisor.euに収録されている第一節を、句読点を少し整えて示します。
Helan går,
sjung hopp falleri faderallan lej.
Helan går,
sjung hopp faderallan lej.
Och den som inte helan tar,
han inte heller halvan får.
Helan går!
(ここで飲む)
Sjung hopp faderallan lej.
カタカナで読むと、おおよそ次のようになります。スウェーデン語の母音やrは日本語と一致しないので、あくまで目安です。
ヘーラン・ゴール、
シュング・ホップ・ファッレリ・ファーデラッラン・レイ。
ヘーラン・ゴール、
シュング・ホップ・ファーデラッラン・レイ。
オック・デン・ソム・インテ・ヘーラン・タール、
ハン・インテ・ヘッレル・ハルヴァン・フォール。
ヘーラン・ゴール!
(ここで飲む)
シュング・ホップ・ファーデラッラン・レイ。
意味を日本語で説明するなら、次のようになります。
一杯目、いくぞ、
歌おう、ホップ・ファッレリ・ファーデラッラン・レイ。
一杯目、いくぞ、
歌おう、ホップ・ファーデラッラン・レイ。
一杯目を飲まない人には、
二杯目も回ってこない。
一杯目、いくぞ!
(ここで飲む)
歌おう、ホップ・ファーデラッラン・レイ。
これは歌うための日本語訳ではなく、意味を知るための説明です。falleri faderallan lejに特別な意味はなく、日本語なら「ラララ」に近い囃子言葉です。歌詞は集まりによって少しずつ違い、スウェーデン語の歌のページには第二節のHalvan gårも載っています。
Helan gårの正確な起源は分かっていません。ストックホルムの酒類博物館Spritmuseumはおよそ150年前の歌としており、メロディーはさらに古く、フィンランドのスウェーデン語百科事典Uppslagsverket Finlandによれば1845年のスウェーデンのオペレッタModehandlerskanにすでに見られます。
1957年、モスクワでのアイスホッケー世界選手権でスウェーデンが優勝したときの逸話も有名です。国歌を歌う場面で、歌詞を十分に覚えていない選手がいたため、代わりにみんなが知っていたHelan gårを歌いました。
出典:Spritmuseum(snapsvisorの歴史)、Forskning & Framsteg(Christina Mattsson)、Uppslagsverket Finland(snapsvisa)、関西・スウェーデン友の会(2026年)、世界の民謡・童謡(ヘランゴー)、ONTOMO(スウェーデン大使館インタビュー)
スウェーデンのMidsommarは、日本語では一般に「夏至祭」と紹介されます。スウェーデン語の発音に近い「ミッドソンマル」という表記も、スウェーデン大使館やスウェーデンハウスのコラムで使われています。映画『ミッドサマー』の影響で、英語読みの「ミッドサマー」という表記で知った人も多いでしょうが、ここで扱うのは実際の年中行事のほうです。
前夜祭のmidsommaraftonは、毎年6月19日から25日の間の金曜日。翌日の土曜日が祝日のmidsommardagenですが、祝いの中心はこの金曜日のほうです。花や緑で飾った夏至柱(midsommarstång)を囲んで踊り、食卓にはニシンの酢漬け、新ジャガ、イチゴなどが並びます。そこにsnapsと歌が加わります。
スウェーデン大使館の文化担当官は日本のメディアのインタビューで、夏至祭では飲むたびに歌い、歌い終わると「スコール!」と言って乾杯する、と説明しています。
snapsvisorはMidsommarだけの歌ではありませんが、この夏の食卓は伝統を体験しやすい代表的な場面です。この日のための歌はスウェーデン語のページSnapsvisor till midsommarにあります。
実は日本にも夏至祭があります。北海道の当別町では、姉妹都市レクサンドとの交流をきっかけに毎年6月に夏至祭が開かれ、2026年で41回目を迎えました。スウェーデン語の別名majstångにちなんで「マイストング」と呼ばれる夏至柱も立ちます。
出典:スウェーデンハウス(ミッドソンマル)、スウェーデン大使館広報部(マイナビニュース)、ONTOMO(スウェーデン大使館インタビュー)、Visit Sweden(夏至祭)、スウェーデンの祝日法、当別・レクサンド都市交流協会(夏至祭)
日本でも、ザリガニパーティーはIKEAやスウェーデン関連団体のイベントを通じて紹介されてきました。
スウェーデン語ではkräftskiva。8月を中心に、ディルと一緒にゆでたザリガニを大皿に盛り、パンやチーズと一緒に囲む晩夏の行事です。紙の帽子、エプロン、紙のランタンなど、少しふざけた飾りも定番です。
昔はザリガニ漁の解禁時期が決められており、その名残から8月に食べる習慣が残りました。この禁漁期間は1994年に完全に撤廃されていますが、現在も8月にkräftskivaを開く人が多くいます。
ここでは歌の出番が特に多くなります。ザリガニやディルそのものを題材にした歌もあれば、定番のHelan gårもあります。人気の歌はスウェーデン語のページSnapsvisor till kräftskivanに集めてあります。
その再現はかなり忠実です。IKEA Japanは2016年から8月にザリガニフェアなどの企画を重ね、紙のとんがり帽とエプロン、snaps、乾杯の歌を紹介してきました。関西・スウェーデン友の会のザリガニパーティーでは、参加者全員でHelan gårを合唱するのが恒例で、2026年の会でも「ヘーランゴー」を練習してから全員で歌い、「スコール!」と乾杯しています。埼玉県飯能市のメッツァビレッジの夏至祭イベントでも、ザリガニパーティーと同じように「ヘランゴー」を歌って「スコール!」と乾杯する体験が組まれています。
日本語の「ザリガニパーティー」は、単なる訳語ではなく、すでに国内である程度定着したスウェーデン文化の名前になっています。
出典:Nordiska museet(ザリガニパーティー)、Visit Sweden(ザリガニパーティー)、IKEA Japan(2016年のプレスリリース)、IKEA Japan(2018年のザリガニフェア)、関西・スウェーデン友の会(2024年)、関西・スウェーデン友の会(2026年)、メッツァビレッジ(2023年の夏至祭)
snapsvisorは、お酒が出るたびに歌うものではありません。代表的なのはMidsommarとザリガニパーティーですが、クリスマスや復活祭の食卓でもsnapsと歌が登場します。クリスマスの伝統的なビュッフェjulbordがよく知られた例です。
学生の晩餐会も重要です。今も学生のフォーマルな夕食会では、みんなで歌う習慣が残っています。
結婚式、記念日、誕生日などで、その日のための新しい替え歌を書くこともあります。
どの場面にも共通するのは、強いお酒そのものより、食事と仲間と歌と乾杯がひとつの流れになっていることです。
出典:Levande kulturarv(snapsvisor)、Spritmuseum(snapsvisorの歴史)
初めてなら、まず周りを見れば十分です。
スウェーデン語が分からなくても
歌詞カードがあることも多く、メロディーが分かれば途中からでも参加できます。全部歌えなければ、最後だけ合わせてもかまいません。
お酒を飲まなくても
歌と乾杯はみんなで分かち合うもの。グラスの中身は水でもソフトドリンクでも大丈夫です。
一気に飲まなくても
イベントの紹介では「飲み干す」と説明されることもありますが、snapsを食事と一緒に少量ずつ飲むのも自然です。歌詞にお酒や乾杯が出てきても、snapsvisaは日本の飲み会で一気飲みをあおる「コール」とは別のもので、グラスを空けることが参加の条件ではありません。
乾杯では目を合わせて
skålと言ってグラスを上げ、相手と目を合わせます。飲んだ後にもう一度。これだけ覚えておけば、初めての席でも慌てません。
そしてskålは、日本語なら素直に「乾杯!」と考えれば十分です。「スコール!」というカタカナ表記はすでに広く使われていて、デジタル大辞泉にも「乾杯のときのかけ声」として載っています。にわか雨のスコールや清涼飲料の名前と同じ音ですが、スウェーデンの食卓で聞こえてくるのは、もちろん乾杯のほうです。スウェーデンの乾杯の作法は、スウェーデン語のガイドSkålens 10 gyllene reglerで詳しく紹介しています。
出典:Systembolaget(食事と合わせるsnaps)、Systembolaget(乾杯の作法)、コトバンク(スコール)、メッツァビレッジ(2023年の夏至祭)
仕組みは日本語でも同じです。
たとえば「きらきら星」のメロディーなら、日本語でも短い行をそろえやすいでしょう。
メロディー:きらきら星
ちいさなグラス
なかみはすこし
歌はみじかく
夜はこれから
ちいさなグラス
さあ、スコールだ
昔からある日本語の歌ではなく、このページのために書いた例です。実際に作るときは、歌詞の上に必ず「メロディー:きらきら星」のように書いておくと、その場で初めて見る人でも歌えます。
Snapsvisor.euには約900曲の歌が300以上のメロディー別に整理されていて、一つのメロディーにどれだけ多くの替え歌が生まれるかが一目で分かります。そこから自分の歌集を作って印刷したり、QRコードでゲストと共有したりできます。ツールと歌はスウェーデン語です。
酒席で歌う文化そのものはスウェーデンだけのものではありません。日本にも宴会の歌や、声をそろえる瞬間があります。
ただし、短い歌を全員で歌い、そのままsnapsの乾杯へつなげ、しかも既存のメロディーに新しい歌詞をのせるという現在の形は、スウェーデンとフィンランドのスウェーデン語圏で特に強く残りました。
背景には中世以来の酒宴の歌の伝統がありますが、現代のsnapsvisaに近い形が広がったのは18~19世紀、なかでも19世紀の学生文化でした。学生の晩餐会なら、大勢が同じ曲を知っており、新しい歌詞もすぐ全員で歌えます。
20世紀初めにはスウェーデンの酒類規制が厳しくなり、motbokと呼ばれる酒類購入の配給手帳まで使われました。厳格な酒政策と、食卓で酒を笑い飛ばすような歌が同時に存在していたことも、この伝統の面白いところです。
日本の「乾杯」も、実は同じころに広まった習慣です。神崎宣武の研究によれば、酒席を「乾杯!」で始める日本の習慣は古来のものではなく、明治以降に広まった比較的新しいものです。およそ150年前の歌とされるHelan gårと、年代はそれほど遠くありません。
そして、これは過去の話だけではありません。Spritmuseumは1992年からsnapsvisorを収集し、現在のアーカイブは1万2000曲を超えています。1995年からは新作snapsvisorのスウェーデン選手権も開かれています。古い型はそのままに、その年の出来事や新しいメロディーで歌詞が書き足されていくからこそ、この伝統は今も生き続けているのです。
出典:Levande kulturarv(snapsvisor)、Spritmuseum(snapsvisorの歴史)、Forskning & Framsteg(Christina Mattsson)、神崎宣武「乾杯の文化史」、Spritmuseum(新作snapsvisorのスウェーデン選手権)
| スウェーデン語 | 日本語での説明 |
|---|---|
| snaps | 食事や乾杯と一緒に出される少量の蒸留酒。特定の酒の名前ではない |
| snapsvisa | snapsの乾杯の前にみんなで歌う短い歌 |
| snapsvisor | snapsvisaの複数形 |
| skål | 「乾杯!」の意味。日本では「スコール」と書かれることが多い |
| nubbe | snapsのくだけた呼び名 |
| brännvin | 香り付きと無香の両方を含む、スウェーデンの蒸留酒の広い呼び名 |
| akvavit | アクアビット。主にキャラウェイやディルで香り付けした蒸留酒 |
| helan | 伝統的な「一杯目」の名前 |
| halvan | 「二杯目」の名前 |
| tersen | 「三杯目」の名前 |
| Midsommar | スウェーデンの夏至祭。6月下旬 |
| kräftskiva | ザリガニパーティー。8月を中心にした晩夏の食事会 |
| sånghäfte | 歌詞をまとめた小冊子、歌集 |
| julbord | スウェーデンの伝統的なクリスマスのビュッフェ |
snapsを指すくだけた言い方は、ほかにもたくさんあります。辞書の出典付きで、スウェーデン語のガイドSnapsens många namnに集めてあります。
日本の宴会にも、乾杯の音頭、みんなで声を合わせる瞬間、替え歌やカラオケがあります。だからsnapsvisaをまったく未知の文化として考える必要はありません。違うのは、その要素が一つの短い儀式にまとまっていることです。
食事の途中で歌う。グラスを上げる。目を合わせる。skålと言う。そしてまた食事に戻る。一度その場にいれば、二曲目からは説明がなくても流れが見えてきます。
歌のコレクションとほかのガイドはスウェーデン語ですが、歌詞は短く、それぞれの歌のページにはどのメロディーで歌うかが書かれています。
このページの文化的・歴史的な記述の主な出典です。多くはスウェーデン語か英語ですが、日本語の資料も含めています。ゲスト向けの助言と歌の書き方はSnapsvisor.eu編集部によるものです。